雑食デザイナーの雑多なブログ

明太子マヨネーズおにぎり

灯台下暗し。事業にコミットしようとしすぎて武器が見えなくなったデザイナーの話

こんばんは。

普段はIT系事業会社でデザイナーをしています。

やっているデザインの内容は主にwebデザインで、アプリのUIデザインなんかもやります。

基本的に求められるのは一つ。

「事業が成長するために必要なデザイン」。

明確ですね。最近のwebの流行りをみながら、MaterialDesignやAtomicDesignなど、エンジニアとの円滑なコミュニケーションと事業効率を考えた業務を行っています。

 

で、突然昔話をするのですが、

思えば小学生のとき、教室のど真ん中にもかかわらず、先生の授業がまぁつまらないのでカービィやスライムの登場する漫画を描いていました。当時のクラスメートのUくんが原作、私は漫画の清書やブラッシュアップを担当して、100ページ以上の大作になりました。ある日突然、飽きちゃったんですけどね。

そのまま結局美大のような理系のような大学に進んだのですが、どうも真面目な性格だからか、デザインを難しく捉えすぎて数年間なにもいい作品が生み出せずにいました。

デザインって、なんだか難しい気がする。

デザインっていう以上、かっこいいもの作らなきゃ(みんなかっこいいものつくってるし)。

なんだかそういう先入観が、自分の中でありました。

 

その感情にブレイクスルーを与えた出来事があったのですが、まぁ深くは語りません。とにかく今のままではいけない!と感じる出来事があり、グラフィックデザインへの転向を経て、自身が幼少期から研ぎ澄ましてきた武器を再確認することになりました。

あ、イラストが描きたかったんだ。

そう気付き、そこからは早かったです 。イラストを使ったグラフィックデザインの研究に取り組み始めどんどん自分が心から好きだと思える作品が出来上がっていきました。

 

で、就職。

いま、事業会社でのデザイン業務という制約の多い中での業務を続けているのですが、クオリティは極力高めようとしているにしても、自分が心から好きだと思える作品を作れているかというと、実は数えるほどしか作れていません。

まぁそんなに転職する気もないのですがいろんな人の話を聞いていると、ポートフォリオ用意したみたいな話を聞くわけです。で、自分ってポートフォリオないなと思ってそろそろ整理するかーなんて思うんですが、

ポートフォリオに載せられるいわゆる「これが自分の武器だ」といえる作品を数えると、実はそんなに数がないんですね。なんでだろう。結構必死に数年会社に尽くしてきたのに。

なぜなのか考えても、なかなか答えが見出せませんでした。

 

ある日、プライベートで名刺を作る機会が与えられました。

半強制的に2時間ほど、業務外のデザインをするという機会がができ、ここ最近やっていなかった「制約のない状態でのデザイン」というものをやることになりました。

どういうものができあがったのか。

 

明らかに、イラストレーションを強みにした作品ができあがったのです。

冒頭でお話ししていた通り、私はほとんど業務でイラストを描きません。

描かなければいけないシーン(チュートリアルを表現する際などでどうしても必要でも、外注する時間やお金がないとき)以外は、デザインに積極的にイラストレーションを使うことはありませんでした。あくまで、ありものの素材でどうやって伝わる作品を作れるか、そこに終始してしまっていました。

 

それで仕事が成り立ってしまっていたからこそ気づかなかったのですが、イラストを使ったデザインをすることが、自分にとって一番自然なアウトプット方法だったのです。

 

すこし視点を変えます。

「事業が成長するために必要なデザイン」

とはどういったものでしょうか。

たとえばプロモーションで使うバナー広告は、どれくらいのクオリティで出されるべきでしょうか。

私が考える中では、マストなのは「伝えるべき要件が一発で伝わるクオリティ」です。

これは、中堅デザイナーであればそこまで時間をかけずに達成できます。伝えるべき主題も要素の優先順位も与えられている状況であれば、グラフィックデザインの基礎知識に基づいて構成すれば、それなりに見えるようになります。

では、よりベターなデザインはどういうクオリティかというと、私が考えるのは「デザインに印象に残るような、遊び心が感じられる状況」を作り上げられるかどうかです。これにはコストがかかります。加えて、じわじわとブランディングに効いてくるものですし、スピード感をもって事業を回しているシード期のスタートアップなどの非デザイナーには、優先順位としては落とさざるを得ない要件かと思います。

 

何を言っているかというと、そういった状況下で働くデザイナーは、自身のクリエイティビティを発揮できる場所を会社以外でもつか、自分自身で会社に作り上げない限り、どんどん自分の武器がなまくら刀になっていく、ということです。今回、イラストレーションを使ったデザインを久しぶりにしてみて、改めてそう確信しました。

 

これから先も、時間重視で納得のいかないクリエイティブを出さざるを得ない、そんなことも起き得ると思います。それでも、自分の武器だけは懐に常に携えて、使わないときにしっかり研ぎ澄ませておきたい。そういう時間を取れるよう、自分をコントロールしていきたい。

そんなことを決意させられたワークショップでした。

灯台下暗しで、今やってる事業に振り回されて、本当にやりたいことや武器になることをないがしろにしてることってあるよなーと思い、こんな記事を書いてみました。

 

ではでは、今日はこのへんで。

良い連休を。